誕生と死について

2021年4月5日(月)

#12感覚論

テーマ:誕生と死について

『翁雄正話――これでもシュタイナー I I I

仲正雄 講演録 感覚についてーー三つ子の魂』

仲先生は、シュタイナーの話した内容を材料として、独自に発展させた解釈枠組みを提示するという、本来の意識魂の今までにない創造的思考を働かせた上で、とてもわかりやすい言葉で説明される素敵な方です。

 1年目2年目3年目
立つ立つ向かう跳ぶ
話すことば文章
考える感覚記憶思考

誕生後の3年間は、1年目に立ち、2年目にはなし、3年目に考え始めるという成長を遂げるということは、シュタイナー教育ではよく知られていることなのですが、仲さんは、立つ、話す、考えるのそれぞれが、誕生1年目から3年目まで、どのように成長していくのだろうという疑問から、シュタイナーの文章化された材料を手がかりに、独自の見解を提示されています。この貴重な試みにより、「三つ子の魂」という日本の有名な言葉の意味が、改めて、深く知ることができるようになったのです。

こうした、今までなされていない新しい発見をすることこそが、現在の時代の意識魂が目標とするところでもあるのです。

以下、興味深い箇所を、引用して、示させていただきます。

「『感覚』が今日のテーマですけれども、僕たちは『感覚』というのは、そんなに意識して持っているものではないんですよ。」

「『私は、今、見ている』なんて思っている人なんて誰もいないですしね。」

「今日は、

『感覚というものを人間が育て始めるところ』

『感覚の生活』

『人間が年を取るということと感覚――老人になっていくということがどういうことなのか』

 という、この三つの材料を料理してみようかと思っています。」

「人間は生まれる時は上から産まれていくんです。死ぬときは、下から死んでいくんです。『人間は足から死ぬ』と言います。」

「足が弱ってきます。足が死んでいきます。そうすると膝がガクガクしてきます。杖が必要になったおじいさん、おばあさん太刀は、膝まで死んだんです。膝がもっと死んできて腰あたりまで死ぬと、車椅子になります。そして、車椅子も使えなくなって、背骨がその死のプロセスの中に入っていくと寝たきりになってくる。最後まで生きているのは頭です。寝たきりになっても口だけはうるさいおじいさん、おばあさんて、結構多いですよね。」

「人間は産まれてくるんです。『生まれてくる』というのは『出発のところに立つ』という劇的なところがあります。

 人間は、立った時、嬉しいんですよ。・・・・・ 小さな子どもが立ち上がったときの、あと、あの子どもの表情を思い出してください。」

「『これから辛い人生が始まるんだ』

 と思って立ち上がる子はいないですよね。」

「喜びの中で今度は『向かっていく』一つのプロセスがあります。」

「向こうから物がくる。子どもは、呼ばれるようにいくんです。子どもは、今『向かう』と書いたけれども、違う言い方をすれば、呼ばれるから、そちらに向かうんです。」

「実際、例えば『自閉症』と言われている子どもたちがいます。『話せない』子どもたちがいます。彼らがどういう現象を出すかというと、『放せない』んです。」

 「外のものを受け入れる前半生から内のものを外に出す後半生」、といういい方もされています。そして、これは、「一つの呼吸」であるとおっしゃるのです。吸い込む前半と吐き出す後半に、一生はまた、「逆方向の平行線」でもあると指摘されています。

ほんの一部ですが、何か、生きた言葉に出会えた気がするのではないでしょうか。

それを感じていただきたいと思い、ごく一部を引用させていただきました。

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